【心不全の急性期】リハビリの進め方と注意点について解説

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ぴんころ
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こんにちは!心臓リハビリテーション指導士のぴんころです。

今回は「心不全患者さんの急性期リハビリの進め方」についてお伝えしていきます。

心不全で入院された患者さんに対して、早期からリハビリを行うことはとても重要です。

ただ、「どのように離床を進めればいいの?」「どこまで動いて大丈夫の?」など疑問点は多いと思います。

この記事を読めば、心不全患者さんへの「急性期リハビリの実際」「運動プログラム」「早期離床の意義」などについて学ぶことができます!ぜひ最後までよろしくお願いします。

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心不全急性期のリハビリの目的

まず心不全患者さんが早期離床をすることの目的についてです。「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」では、以下の2点が挙げられています。

  1. 早期離床により過度の安静がもたらす弊害を予防すること
  2. 早期かつ安全な退と、再入院予防を見据えたプランを立案し実現すること

「過度な安静がもたらす弊害」とは、身体機能低下認知機能低下せん妄褥瘡肺塞栓などを指しています。

どの疾患においても、廃用症候群を予防する目的で早期離床の必要性が知られていますが、心臓リハビリでも例外ではありません。心不全急性期においては、循環動態の悪化等に十分に注意し、適切なリスク管理の下で離床を進めていきます。

また、昨今では心不全患者さんの高齢化に伴い、早期離床はさらに重要度を増しています。

高齢心不全患者さんに対する入院早期からのリハビリ介入により、入院日数が短縮することや、退院時のADL維持退院後の再入院抑制に関与することが知られています。

早期からの包括的な心臓リハビリテーション介入により、退院後のリハビリ継続率の向上や、心不全に関する知識の定着などが可能となり、その結果心不全による再入院の抑制につながります。(参考:包括的心臓リハビリテーションについて

ぴんころ
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単に入院期間を短縮させるだけではなく、再入院しないことを目的とする点が心リハの特徴といえます!

心不全急性期のリハビリの実際

それではここからは、実際に「どのように離床を進めていくのか」についてお伝えします。

リハビリ介入前の確認事項

早期離床は重要なのですが、誰でもやみくもに離床を進めたらいいわけではありません

当然ですが患者さん一人ひとり病態は違っていて、心不全に至った原因も異なります。そのため、冒頭でもお伝えした個々の状態に合ったリスク管理が重要となります。

リハビリ介入前の情報収集はとても大切で、下記のような情報を事前に確認しリハビリ介入に備えます。

  • 心不全の病態把握
  • 治療状況の確認
  • リハビリ禁忌事項の確認

詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください↓

急性期離床プログラム

事前の情報収集が完了し準備が整ったら、いよいよ患者さんへの介入です。

心不全の離床の進め方については、日本心臓リハビリテーション学会作成の「心不全の心臓リハビリテーション標準プログラム(2017 年版)」が参考になりますのでぜひ参考にしてみてください。

標準プログラムの中では、以下の「急性期離床プログラム」が掲載されています。

心不全の心臓リハビリテーション標準プログラム(2017 年版)を元に作成

1~6までのステージがあり、それぞれに「ステージアップ負荷試験」が設けられています。この試験により、バイタルの大きな変動不整脈の誘発血行動態の悪化がないかを確認し、問題がない場合に次のステージに進んでいきます。

各ステージにおける安静度や、リハビリ実施場所、目標座位時間を参考に、病棟スタッフとも情報を共有することで、現在可能な活動今後の目標について確認することが可能です。

このプログラムは、必ず「ステージ1」から開始しないといけないわけではありません。実際、軽症の方や若年者は、初日に座位→立位→短距離歩行と進められる場合もあります。

反対に、重症でなかなか離床プログラムが進まない場合も多々あります。

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プログラムはあくまでも離床進行上の目安で、個々の状態に合わせて進めていくことになります。

リハビリ実施中に確認したい、患者さんの身体所見に関してはコチラの記事を参考にしてみてください↓

運動プログラムの実際

離床プログラムが順調に進み、心不全増悪所見ないことが確認できた場合、リハビリをさらに進めていきます。

具体的な運動プログラムの構成に関してですが、標準のプログラムは以下の通りです。こちらは、「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」を参考にしています。

運動前後にウォームアップクールダウンを設定し、低強度の有酸素運動とレジスタンストレーニングにより構成します。

ウォームアップとクールダウンは、運動中の事故を防止するために欠かせません。運動前に5~10分のウォームアップ、運動後に5~10分のクールダウンを行うことで、運動中の血圧や心拍数の急激な変化の防止や、ケガの防止につながります。

有酸素運動
  • 屋内歩行または自転車エルゴメータ(0~20 W)を5~10分間程度の低強度から開始
  • 自覚症状や身体所見の経過に応じて、運動回数と運動時間を徐々に増加
  • 開始初期はBorg指数は11~13(自覚的運動強度「楽である」~「ややつらい」)を目安として実施
レジスタンストレーニング
  • ゴムバンドや重錘、ダンベル、フリーウェイトを用いた運動
  • 運動強度はBorg指数13以下を目安とした低強度を基本
  • 1セット5~10回から始めて徐々に回数とセット数を増量する
ぴんころ
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このような構成でリハビリを進め、患者さんの状況に合わせて運動時間や回数強度を日々調整していきます。

心不全の増悪兆候がないかは、日々必ず確認しましょう!

心不全急性期のリハビリのまとめ

  • 心不全急性期のリハビリの進め方についてまとめました。
  • 事前の情報収集をしっかりと行い、実際の患者さんの様子を注意深く確認しながら離床を進めていきます。
  • リスク管理をしっかりと行い、根拠をもってスムーズに離床が進めていけるのが理想だと思います。
  • 標準プログラムを念頭に置いて、患者さんに合わせたベストな離床のお手伝いが出来るように知識を増やしていきたいですね。
  • 最後までお読みいただきありがとうございました。この何か1つでも参考になれば幸いです。

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