貧血の種類|検査値(Hb,MCV)での見分け方と原因疾患

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ぴんころ
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こんにちは!理学療法士のぴんころです。

今回は臨床で出合う機会の多い「貧血」についてまとめています。

「貧血」は日常でも聞くことのある身近な疾患ですが、その背景には様々な原因疾患があります。

重症度や疾患によっては、身体活動を行う上でのリスクとなりうるため、その見分け方を知っておくことはコメディカルにも重要なことです!

それでは、貧血について学んでいきましょう。

この記事でわかること
  • 貧血の定義(Hb、RBC、Htの基準値)
  • 貧血の症状と原因疾患
  • MCVによる貧血の鑑別方法

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貧血とは

「貧血」とは、赤血球に結合する酸素積載量が身体の必要とする酸素の必要量に対して不十分な病態です。

貧血になると、以下のような様々な症状が起こります。

【貧血で生じる主な症状】

  • 倦怠感(易疲労感)
  • 動悸
  • 息切れ
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 意識障害
  • 頭痛
  • 眼瞼結膜、爪床の蒼白

血液所見では以下のような特徴があります。

  • Hb(ヘモグロビン)濃度の低下
  • 血液の単位容積内のRBC(赤血球数)の低下
  • Ht(ヘマトクリット)の低下

1つずつ確認していきましょう!

Hb(ヘモグロビン)

貧血の有無の判断として、最も一般的なのはHb(ヘモグロビン)だと思います。貧血診断の基準値は以下の通りです。

【Hbでみる貧血の基準(WHO)】

  • 成人男性13 g/dl以下
  • 思春期、成人女性12 g/dl以下
  • 小児、妊婦、高齢者11 g/dl以下

RBC(赤血球数)

血液検査のRBCは、血液中に1マイクロリットル中に、赤血球がどれくらい含まてれているかを示しています。

RBCの基準値は「成人男性:370万~570万個/μl」、「成人女性(妊婦を除く):370万~490万個/μl」です。

Ht(ヘマトクリット)

Ht(ヘマトクリット)は、血液を分離した後の血球の割合です。血球成分は95%程度が赤血球であるため、Htを調べることで血液中にどれくらいの割合で赤血球が存在するのかを知ることができます。

Htの基準値は「成人男性:40~50%」、「成人女性(妊婦を除く):35~45%」です。

貧血の鑑別

HbやRBC、Htの検査値で貧血があることが判明しても、貧血の原因が分かったわけではありません。

そこで役に立つのがMCV(平均赤血球容積)の検査です。

慢性の貧血は、MCV(平均赤血球容積)によって小球性、正球性、大球性の3つに鑑別診断されます。

MCVは赤血球の平均的な大きさを表しており、計算方法は「MCV=ヘマトクリット値÷赤血球数×10」です。

 MCV≦80  =小球性貧血

 MCV81~100正球性貧血

 MCV≧100  =大球性貧血

ぴんころ
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「MCV81~100」が正球性ということだけ覚えておけば、他は分かりますね!

小球性貧血(MCV≦80)

小球性貧血はさらに、Fe(鉄)、TIBC(総鉄結合能)、FRN(フェリチン)の検査結果により以下のように鑑別されます。

小球性貧血は、鉄欠乏性貧血の割合が最も多く、鉄欠乏性貧血の診断はFRN(フェリチン)<12ng/mLによって行います。

鉄欠乏性貧血の原因は、偏った食生活による鉄分の不足や消化管の出血などが挙げられます。また、月経のある女性では過多月経、子宮筋腫、子宮ポリープ、子宮内膜症などが原因となることも多いです。

二次性貧血とは、症候性貧血ともよばれ、血液疾患以外の基礎疾患により起こる貧血のことをいいます。主な原因としては感染症、悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患、内分泌疾患(甲状腺疾患など)、膠原病、低栄養などが挙げられます。

サラセミアとは、ヘモグロビンを形成する4つのアミノ酸の鎖のうち1つの鎖の産生が不均衡なために生じる遺伝性疾患群です。正常なヘモグロビンが作られないことによって生じる貧血です。地中海沿岸や東南アジアを祖先にもつ人々に多くみられる疾患で、日本での頻度はそれほど高くありません。

正球性貧血

正球性貧血は、赤血球自体は正常だが全体量が不足している病態であり、何らかの原因で赤血球が多く失われている疑いがあります。

正球性貧血は、二次性貧血と出血性貧血が多く、Ret(網赤血球)の絶対数が10万/μL以上に増加していれば、出血性貧血と溶血性貧血を疑います。この場合、慢性よりも急性の貧血が多く、貧血の程度や進行、全身状態によっては緊急治療を要することも稀ではないという点に注意が必要です。

出血性貧血は、消化管などからの出血が考えられるため、出血部位を特定し治療がすすめられます。

溶血性貧血は、何らかの原因で血管の中を流れる赤血球が破壊されることで生じる貧血です。間接ビリルビン高値,LDH高値を示し、ハプトグロビン低値が溶血性貧血診断の決め手となります。

大球性貧血

大球性貧血は,MCV 100~120とMCV>120に分けて鑑別されます。

MCV 100~120では、アルコール多飲、肝疾患、網赤血球増加、甲状腺機能低下、白血病、MDS(骨髄異形成症候群)、抗腫瘍薬などが疑われます。その中で最もよくみられるのはアルコール多飲です。

MCV>120であれば巨赤芽球性貧血が考えられ、ビタミンB12欠乏あるいは葉酸欠乏性貧血を疑います。ただし、葉酸欠乏性貧血はまれであり、ほと
んどがビタミンBl2欠乏性貧血です。ビタミンB12欠乏性貧血では、Hunter舌炎による味覚障害や食欲不振をきたすことが多く、しばしば高度の体重減少を伴うのが特徴です。

貧血がある場合のリハビリ介入

最後に貧血のある患者さんにリハビリ介入する際の注意点について簡単にまとめます。

  • 貧血の程度を確認(Hb値)
  • 貧血の経時的変化を確認(急性or慢性)
  • 貧血の種類を確認(小球性、正球性、大球性)
  • 患者さんの身体所見運動時の反応(易疲労感、息切れ、めまい、動悸など)を確認

血液所見が確認できる場合は、貧血の程度や経時的な変化、貧血の種類などを把握し、まずはリハビリ介入できる状態であるかをチェックします。

貧血に対して治療が行われている場合は、どのような治療が行われているかを知っておくとさらに良いと思います。

そして、リハビリ介入できる状態と判断された場合は、実際の患者さんの身体所見や、運動時の自覚的・客観的所見をしっかりと確認し、運動強度を調整します。運動後や翌日の疲労感についても確認するとより良いと思います。

貧血の種類のまとめ

  • 貧血の種類や診断方法についてまとめました。
  • 貧血の背景には様々な疾患が存在しており、それにより治療法も全く異なるため、どのような可能性があるのかを理解しておくことは非常に重要だと思いました。
  • Hbの値だけでなく、その他の検査所見についても目を向けることが理解を深める一歩につながると思います。
  • 最後までお読みいただきありがとうございました。
参考
1)岡田定:慢性の貧血を診たときにどのように鑑別するか.診断と治療vol107-no5.p543-548,2019
2)張替 秀郎:貧血―診断と治療のアプローチ―.日本内科学会雑誌 104 巻3号.p567-571
3)成田 美和子:貧血の分類と診断の進め方.日本内科学会雑誌 104 巻7号.p1375-1382,2015

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