【心臓の機械】CRT、ICDとは?|ペースメーカーとの違いは

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心臓へ機械を植え込む治療といえば、「ペースメーカが最も有名ですが、その他にも植え込まれる機械があります。

現在日本では、不整脈、心不全、失神に対して年間約7万件の植え込みデバイス手術が行われています。

この記事で分かること
  • 心臓に植え込むデバイスの種類とそれぞれの適応疾患
  • CRT、ICDとペースメーカーの違い
  • CRT‐D、CRT‐P、ICDとは何か

ペースメーカーについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください↓

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心臓に植え込むデバイス(機械)の種類

なぜ心臓にデバイスが必要か?

まず、心臓のデバイスについて知る前に、なぜデバイスを植え込む必要があるのかについて知る必要があります。

心臓は以下の「刺激伝導系」によって、心臓へ順序良く刺激が伝わることで、左右の心房と心室がテンポよく協調して収縮・拡張運動を行います。

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刺激伝導系

心臓が「順序良く一定の丁度いいリズム」で収縮と拡張を繰り返すことで、全身に血液が流れ循環が保たれます。

逆を言えば、この刺激伝導系の正常な電気の流れが不整脈などで乱れると、血液の循環に支障をきたすことになります。

この問題を解決するために必要なのが「ペースメーカー」「ICD」「CRT」などの心臓に植え込むデバイスです。

デバイスの種類

デバイスの種類は、大きく分けて以下の3種類あります。

不整脈の治療に用いる植込みデバイス

 ①ペースメーカ

 ②植込み型除細動器(ICD;implantable cardioverter defibrillator)

心不全の治療に用いる植え込みデバイス

 ③心臓再同期療法(CRT;cardiac resynchronization therapy)

ぴんころ
ぴんころ

それでは、次にそれぞれのデバイスがどのような目的で使用されているのかを見ていきましょう!

デバイスを植え込む目的

不整脈に対するデバイス【ペースメーカーとICDの違い】

ペースメーカーは、洞不全症候群や房室ブロックなどの『徐脈性不整脈』の治療に用いられます。これらは上述の「刺激伝導系」の前半部分、刺激を出す過程が上手くいかないことで生じる不整脈で、心拍数が正常より極端に遅くなります。

一方、植え込み型除細動器(ICD)は、脈が速くなる頻脈性の不整脈、中でも心臓のポンプの働きを担う心室が頻脈になる『心室頻拍』、または『心室細動』による突然死の予防を図るために用いられます。

  • ペースメーカーの適応:徐脈性不整脈

  →非常にゆっくりになってしまった心臓の動きを補助する役割

  • ICDの適応:致死性不整脈

  →命に関わる危険な不整脈が発生した時に作動し突然死の予防する役割

心不全治療に用いられるデバイス【CRT】

心臓再同期療法(CRT)は、おもに重症心不全の方の治療に用いられます。

心臓の収縮のタイミングのずれを改善することで、低下した心臓のポンプ機能の改善を目的としたデバイスです。

これにより、通常の心不全治療では改善が見られなかった症例でも、呼吸困難や息切れなどの症状が改善する可能性があります。

CRTには『CRT-P(Cardiac Resynchronization Therapy Pacemaker)』と『CRT-D(Cardiac Resynchronization Therapy Defibrillator)』の2種類がありますが、それについては後ほど説明します。

ぴんころ
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つぎは、『ICD』と『CRT』の詳しい働きについて確認しましょう!

ICD/CRT-Dによる治療
出典:致死性不整脈、植込み型除細動器(ICD)による治療(慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト)

ICD治療について

ICDは、心臓の動きを常に監視して治療や記録を行います。

ICDが頻拍を検出すると、治療が必要なものかを機械で識別し、適切な治療内容も自動的に選択してくれます。

ICDによる治療

① 抗頻拍ペーシング治療

 心室頻拍に対して、起こっている不整脈よりも早いタイミングで電気刺激を行うことで、不整脈を停止させる方法

②カルディオバージョン

 比較的低めのエネルギーの電気ショックを、心室の動きに合わせて安全なタイミングで出力し不整脈を治療する方法

③除細動

 心室細動という危険な不整脈が検出されると、カルディオバージョンよりも更に強い電気ショック治療をする方法

③が最も急を要する状態に対する治療となりますが、不整脈の「重症度」や「緊急性」を ICD が判断して最適な治療が行われます。

また、ICDは設定された心拍数を下回る(徐脈)となった場合には、『ペースメーカー』として働くことも可能なデバイスです。

ぴんころ
ぴんころ

『ICD』ってすごく優秀で万能なデバイスなんですね!

CRT治療について

CRT は心臓の動きに合わせて、心室全体が同時に収縮し、きちんと全身に血液を送れるようにする機械です。

心臓が拡張して収縮力が低下する「拡張型心筋症」や、心臓の周りの血管が詰まって収縮力が低下する「虚血性心疾患」などが原因となり、心臓の収縮が上手くいかなくなること(同期不全)で、ポンプ機能が低下します。

通常、これらの症例には投薬により、心臓の負担を軽減させ心不全症状を改善させる治療が行われるのですが、通常治療でも症状が改善しない場合に「CRT」が考慮されます。

CRT-P(両心室ペースメーカ)とは

「CRT-P」の『P』は、ペースメーカーを意味していて、CRT にペースメーカーの機能が追加されたデバイスのことを言います。

CRT-D(両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器)とは

「CRT-D」の『D』は、除細動器(ICD)を意味していて、CRT に ICD の機能が追加されたデバイスのことを言います。

ぴんころ
ぴんころ

「CRT-D」は、『デバイスの機能全部という感じですね!

心臓の植え込みデバイスについてのまとめ

  • 心臓に植え込むデバイスは、「ペースメーカー」「ICD」「CRT」の大きく3種類があります。
  • 徐脈性不整脈には「ペースメーカー」、頻脈性・致死性不整脈には「ICD」、重症心不全に対する同期療法には「CRT」が適応です。
  • 機械を体に植え込むというと、恐怖心を感じる方が多いですが、その目的と効果をしっかりと理解して、納得した上で治療に臨むことが大切だと思います。ご自身の病気や治療について正しい知識を身につけましょう。
  • この記事の内容が一つでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献
・日本循環器学会.2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン.
・BRAIN NURSING vol.38 no.5 2022
・Medical Practice vol.37 no.3 2020
・HEART nursing vol.32 no.9 2019

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