【運動生理学】運動中の心拍出量の変化

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ぴんころ
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こんにちは。心臓リハビリテーション指導士のぴんころです。

この記事では、運動生理学の基礎である「運動中の心拍出量の変化」についてお伝えしています。

何となく理解しているけど、きちんと説明するのは難しい「運動中の心拍反応」について、一緒に理解しましょう!

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心拍出量とは

まず、心拍出量とは「1分間に心臓が拍出する血液量」を表します。

(参考:心拍出量の用語解説「心拍出量とは?」

運動をすると心拍出量はどうなるのか?

結論から言うと、ご想像の通り心拍出量は増加します。運動時の心拍出量は安静時の約5倍になるといわれています。

その理由は、運動をするために全身の筋肉に血流を行き渡らせる必要があるからです。

現に、運動時の心拍出量の約8割の血液が「骨格筋・皮膚」へ配分されています。

運動の負荷が上がれば上がるほど、必要な血液の量は増えていきます

心拍出量を増やすためには?

心拍出量は以下の式で表すことができます。

心拍出量1回拍出量(心臓が1回の収縮で送り出す血液)×心拍数(心臓が1分間に鼓動する回数)

式から考えると、心拍出量を増やすには「1回拍出量を増やす」もしくは、「心拍数を増やす」必要があることが分かります。

ぴんころ
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それでは、実際の運動時のそれぞれの反応について見ていきましょう。

1回拍出量:最大運動の 40〜60%程度まで増加した後プラトーに達し、それ以上の大きな増加は生じない

心拍数を増加:運動強度の増加に伴い直線的に増加する。

       

・運動強度が低いとき→1回拍出量と心拍数ともに増加し心拍出量を増加させる

・運動強度が高いとき→主に心拍数の増加によって心拍出量を増加させる

運動強度によって、どの要素で心拍出量増えるのかが違うんですね!

※補足:心拍数はどこまでも増え続けるわけではなく、負荷量を増やしても心拍数が増加しなくなる地点があり、これを最大心拍数といいます。ちなみに最大心拍数には男女差はなく年齢とともに低下します。

心拍出量を規定する因子とは

心拍出量を規定する4つの因子

心拍数、②心筋収縮性、③心室容積(前負荷)、④心室内圧(後負荷)

心拍出量を規定する因子を詳しくみていくと、上記の4つがあります。

心筋収縮性1回拍出量に直結するため、同様な要素と考えます。そうすると①②は上の式で出てきた内容でイメージしやすいと思います。

では、③心室容積前負荷)、④心室内圧後負荷)とは何でしょうか。

前負荷とは心臓が収縮する直前に心室にかかる負荷のことです。心室に流入するする血液が多いほど、前負荷は大きくなります。したがって、前負荷は「容量負荷」とも言われています。

後負荷は、心臓が収縮した直後に心臓にかかる負荷のことです。左心室・右心室が動脈に血液を送り出すとき、動脈圧に抗いながら押し出します。このことから、後負荷は「圧負荷」とも言われます。血管壁の弾力性が低下している動脈硬化などの場合には、後負荷は増大します。

心拍出量は、「心拍数」「心臓の収縮性」だけでなく、心臓の収縮前後にかかる 「容積負荷」「圧負荷」によっても規定される

心臓の収縮力が弱ると心拍出量は増やせない?

健常人の運動時の心拍出量の反応は、上記で説明した通りです。

では、心臓そのものが弱っていて、②心筋収縮性が低下している場合はどうなるのでしょうか。

心臓の収縮力が低下しているということは、1回拍出量が増やせないので、④心室内圧(後負荷)も高まりません。

これを代償するために、心拍数を多くしたり、③心室容積(前負荷)を増やしたりします

低強度の運動でも、心拍数の増加を主体として心拍出量を増加させることになるため、運動耐容能は下がります。心室容積(前負荷)を増やすことで心臓には負担がかかりやすくなります。

そして心臓に負荷がかかりすぎて、この代償機転が破綻したときの状態を「心不全」といいます。

まとめ

  • 運動中の心拍出量の変化、心拍出量を規定する因子についてお伝えしました。
  • 心臓から正常に血液が駆出されるためには、多くの要素が関わっています。
  • 循環の基礎を学び、運動中に体で何が起きているのかを理解することで、リハビリ中のバイタル反応の理解にもつながると思います。
  • この記事が読んだ方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
・心臓リハビリテーション学会編:指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携.2010
・黒澤博身 監修:全部見える循環器疾患.成美堂出版.2017
・高橋真 他著:理学療法の臨床と研究vol.26,pp23-30.2017
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