【心臓リハビリ】2021年ガイドライン改定~5つの要点~

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ぴんころ
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こんにちは、ぴんころです。私は病院勤務の理学療法士で、主に心臓リハビリテーションに携わっています。2019年に心臓リハビリテーション指導士の資格を取得しました。

2021年3月に『心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』が改訂されました。前回の2012年ガイドラインから9年ぶりの改定です。

この記事では、このガイドラインについて、5つの改定の要点についてまとめています。

「近年の心臓リハビリテーションの考え方」に興味があれば、ぜひご覧ください!

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多職種の包括的介入の重要性

カンファレンス

1)運動療法に加えて,包括的心臓リハビリテーション実践が日常診療で重要であるという観点から,心理学的介入に加え,栄養と食事療法患者教育と疾病管理の項目を追加した

「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」より

以前から、心血管疾患の疾病予防や管理には多職種の介入が必要と言われてきましたが、今回はガイドラインに明記されました。

心臓リハビリテーション学会で、「心臓リハビリテーション」は以下のように定義されています。

心臓リハビリテーションとは,心血管疾患患者の身体的・心理的・社会的・職業的状態を改善し,基礎にある動脈硬化や心不全の病態の進行を抑制または軽減し,再発・再入院・死亡を減少させ,快適で活動的な生活を実現することをめざして,個々の患者の「医学的評価・運動処方に基づく運動療法・冠危険因子是正・患者教育およびカウンセリング・最適薬物治療」多職種チームが協調して実践する長期にわたる多面的・包括的プログラムをさす

心臓リハビリというと、運動療法だけを指すと思われる方が多いですが、上記にもあるように多面的・包括的なプログラムです。

心血管疾患は、運動療法をしただけで良くなるわけではなく、薬物療法、食事療法、本人の意志、家族の協力など様々な要因があります。そのため、医師をはじめとした多職種で1人の患者さんに関わることが重要とされています。

それぞれの職種が、自分の得意分野の情報を持ち寄ることで、患者さんを多面的に診ることができて、その人に必要なアプローチが分かります。

理学療法士の得意分野といえば、筋力・持久力などの身体機能評価、入院前の活動量と実際の運動耐容能との比較などが挙げられます。患者さんの病態や身体機能、生活環境をふまえて運動療法プログラムを作成します。

フレイル・サルコペニアへの言及

2)高齢心疾患患者が増加してきていることから,基本的な身体能力の評価項目を挙げ,とくに筋力や下肢の歩行能力を重要な評価項目として位置づけ,サルコペニアフレイルにも言及した.

「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」より

医療の進歩と高齢化が進むにつれて、高齢の心疾患患者さんは増加の一途をたどっており、近い将来「心不全パンデミック」が起こると予想されています。

高齢者の割合が増加するということは、「サルコペニア、フレイル」などの筋力低下をはじめとした、身体機能が低下した症例の割合が増えるということです。また、高齢の心疾患患者さんは、心臓以外の併存疾患があることが多く、これによっても「サルコペニア、フレイル」を引き起こす可能性が高くなります。

サルコペニア、フレイルは、心疾患が落ちついていて、栄養が十分に摂取できている状況であれば、適切な運動療法によって改善する可能性があります。理学療法士は、これらを評価し、サルコペニア・フレイルの進展予防および改善に努める必要があります!

高齢心不全患者さんへのリハビリについては以下の記事にまとめていますので、よろしければご確認ください。

対象疾患の追加


3)心不全患者が増加していることから,対象疾患として心不全を挙げ,さらにTAVI術後デバイス植込み後のリハビリテーション,肺高血圧症大動脈ステントグラフト内挿術後のリハビリテーションも加えた.

「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」より

今回のガイドラインは2012年のものと比較して、「急性心不全患者の急性期離床プログラム」が追加されるなど、心不全に対するリハビリについてより具体的に示されています。

2018年度の診療報酬改定において,心大血管疾患リハビリテーション料の対象疾患となった経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)後のリハビリが新たに加わりました。また、今後適切な方法論の確立が期待される、大動脈ステントグラフト内挿術の術後リハビリについても記載されました。

ペースメーカーをはじめとしたデバイス植え込み後のリハビリや、肺高血圧に対するリハビリについてもエビデンスに基づいて詳細に示されました。

ぴんころ
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心血管疾患の中でも、病態は多岐にわたるため、各患者さんの病態を理解し最適なリハビリを提供する必要があります

心リハの新たな分野


4)特殊な患者群として,高齢心疾患患者(超高齢者を含む)を独立した項目として挙げ,さらに静注強心薬投与中のリハビリテーション,補助人工心臓(とくに植込型)装着後心臓移植後のリハビリテーションを全面的に書き換えた.そして,腫瘍循環器学(onco-cardiology)が循環器診療でトピックになっており,その中で心臓リハビリテーションの果たす役割についても注目されてきていることから,項目として取り入れて解説した.

「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」より

心血管疾患の治療は日々進歩しており、補助人工心臓心臓移植などの治療が行われるようになり、リハビリも実施されています。

また、重症心不全患者さんでも病態が安定していれば、リハビリは有効であるという報告が示され、心不全ステージⅣといわれる難治性の状態でもリハビリが提供されるようになりました。

心疾患を合併されたがん患者さんのリハビリについては、今回新たに記載されました。「腫瘍循環器リハビリテーション」という、がんリハと心リハの要素をあわせ持った、新たな概念がアメリカ心臓協会(AHA)から提唱されたそうです。

日々アンテナを高く持ち、情報収集と勉強を続けなければ、すぐに時代に取り残されるなぁと焦りを感じます!

今後の課題と展望(心リハの充実)


5)今後の課題と展望として,回復期での心臓リハビリテーションのあり方,在宅医療・地域包括ケア・緩和ケアとの関わりを挙げた.また,新型コロナウィルス流行禍に伴う,外来や維持期心臓リハビリテーションの新たな模索として,遠隔医療の項目を加えた.

「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」より

この点は、地方で理学療法士をしている私は最も身近に感じる問題です。都会に比べて、心臓リハビリテーション自体の普及が不十分なため、回復期はもちろん、在宅・施設などの受け入れは厳しい現状です。

緩和ケアについては、がんの緩和ケアの考え方は定着しているのに対して、心疾患などのその他の疾患に対する緩和ケアの考え方は、まだ全然浸透していないと日々感じています。

心不全患者さんであっても、がん患者さんと同様に最期は自宅で過ごしたいと思われる方が大勢おられます。

遠隔医療や外来リハビリテーションの充実も含めて、まずは心臓リハビリの知識を持つ人(マンパワー)を増やすことが重要だと思います。そして、心疾患があっても患者さんが望む形で日常を送れる「選択肢」がこの先少しでも増えるように、努力していかなければと感じています。

まとめ

  • 2021年に改訂された心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインの5つの要点についてまとめました。
  • 日々進歩している医療の情報に目を向けるとともに、まずは自分の身近で出来る「心臓リハビリテーションの普及という課題に取り組もう!」と感じました。
  • この記事がどなたかの参考になっていれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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