血管年齢、気にしていますか?人間の血管は、加齢とともに硬くなり動脈硬化がすすんでいきます。
生活習慣や食生活が乱れると、その速度は加速します。
動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞、大動脈瘤など、さまざまな病気のリスクが高まることが知られています。
この記事では、血管年齢を若返らせるために必要な食事の工夫についてお伝えします。
血管年齢について詳しく知りたい方は、まずこちらの記事をご覧ください。→【あなたの血管年齢は?「血管老化のリスク」と「若返り」のポイント】
血管年齢を若返らせる食習慣のポイントはこちら↓ここから1つずつ詳しく説明していきます。
- 食べ過ぎない:適切なエネルギー量
- バランスのとれた食事:三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)およびビタミン、ミネラルをバランス良く摂取
- 飽和脂肪酸を過剰に摂取しない
- トランス脂肪酸の摂取を控える
- n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす
- 食物繊維を増やす
- 減塩:食塩摂取量は1日6g未満をめざす
食べ過ぎに注意する
動脈硬化の予防に関して、肥満の方はエネルギー摂取量を制限して減量し、適正な体重を維持することが推奨されています。
その理由は、減量を含めた生活習慣の改善により、血液の脂質異常の改善が期待できるためです。
さらに、脂質異常をもたない場合でも、肥満の方の動脈硬化性疾患の発症リスクは高いことが知られていますので、いずれにしても適正体重をめざして減量した方がよさそうです。
一般に「BMI18.5~25未満」が普通体重、「BMI22」が理想体重とされています。
BMIと適正体重について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください→【BMIと理想体重の関係を理解し、健康的な体重管理をしよう!】
1日のエネルギ―摂取量に関して、「1日に何kcal摂取したらいいか」を具体的に知りたい方は、以下の式を活用してください。
ただし、年齢によって基礎代謝量が異なるため、あくまでも目安として利用してください。
〈適正なエネルギー量の算出法>
総エネルギー(kcal/日) =目標とする体重(kg)× 身体活動量※
※身体活動量:軽い労作=25~30、普通の労作=30~35、重い労作35
日常生活でほとんど動かない方は身体活動量のところに「25」を、反対に日々重労働をしている方は「35」を当てはめて計算してください。
自分自身の適正体重・必要なエネルギー量を知り、食べ過ぎを予防しましょう!
バランスよく食べる|食事のちょうどいいバランスとは
5大栄養素
食べ過ぎを予防してカロリー管理をしても、食べ物が偏っていては良くありません。
「バランスの良い食事」とはよく言いますが、どのような食事を指すのでしょうか?
栄養バランスの取れた食事の基本は、「主食・主菜・副菜をそろえる」ことです
基本となるのは5つの栄養素。3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)にビタミン、ミネラルを加えた5つです。
これは「5大栄養素」と呼ばれています。
いずれの栄養素も、体を健康に保つには欠かせない要素で、これらを過不足なく摂取することが重要です。
どの食材にどんな栄養素が多く含まれているかを知ることが大切ですね。
この5大栄養素に「食物繊維」を摂取する意識をプラスするとさらにGoodです♪
ビタミンを多く含む食材
何も意識せずに食事をしていると不足しがちなのは「ビタミン」と「ミネラル」です。
ビタミンは、体の正常な機能を維持するために必要な有機化合物で、人に必要なビタミンは13種類あります。
- ストロベリー、ブルーベリーなどのベリー類:ビタミンC、ビタミンK、葉酸
- オレンジ、レモンなどの柑橘類:ビタミンC
- トマト:ビタミンCとビタミンAの一種であるリコピンが豊富
- キャベツ、ほうれん草などの葉野菜:ビタミンA、ビタミンC、ビタミンK、葉酸
- ニンジン、パプリカ:ビタミンA、ビタミンC
- カボチャ、サツマイモ:ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE
- シイタケ、しめじなどのキノコ類:ビタミンB1、B2
- サーモン、マグロ、サバなどの魚:ビタミンDが豊富
- レバー:ビタミンAが豊富
- 卵:ビタミンD、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンE
ミネラルを多く含む食材
ミネラルは、骨や血液などの体を作る材料であり、神経・筋肉の興奮性を調整するなど、身体のあらゆる機能を調整する役割があります。
私たちの体に必須ミネラルは16種類あり、どのミネラルも体内で合成することが出来ないため、食事からの摂取が必要です。
- 牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品:カルシウムが豊富
- ワカメ:カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ヨウ素
- イワシ:鉄、カルシウム、リン
- アサリ、カキなどの貝類:亜鉛が豊富
- レバー:鉄分が豊富
- アーモンド、くるみなどのナッツ類:多様なミネラルがバランスよく含まれる
- 大豆、ひよこ豆、レンズ豆などの豆類:鉄、マグネシウムが豊富
- バナナ:カリウムが豊富
1日の食事の中で、5大栄養素をバランス良く摂取できるように心がけましょう!
飽和脂肪酸を摂りすぎない
脂質のおもな構成成分である脂肪酸は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類に大別されます。
飽和脂肪酸
一般的に動物性脂肪に多く含まれるのが「飽和脂肪酸」です。
肉の脂身やバターなどに多く含まれ、常温で個体のものが多いです。
飽和脂肪酸を摂り過ぎると、血液中のLDL(悪玉)コレステロールが増加して、動脈硬化を促進してしまいます。
不飽和脂肪酸
一方、植物性の食品や魚に多いのが「不飽和脂肪酸」で、健康に良い作用があり近年注目されています。
不飽和脂肪酸はさらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分けられます。
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸は「n-9系(オメガ9系)脂肪酸」ともいわれ、その大部分はオリーブオイルなどに含まれるオレイン酸です。
飽和脂肪酸とは対照的に、LDLコレステロールや血中中性脂肪の増加を抑える働きがあります。
多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸には「n‐3系(オメガ3系)脂肪酸」と「n-6系(オメガ6系)脂肪酸」の2種類があります。
n-3系脂肪酸については、後ほど詳しく説明します。
「n-6系脂肪酸」の大部分は、植物油に含まれるリノール酸です。
血中コレステロールを減らす働きを期待できますが、大量に摂取するとHDL(善玉)コレステロールを減らしてしまう可能性があるので、摂りすぎには注意が必要です。
健康のためには、飽和脂肪酸の摂取を減らし、かわりに不飽和脂肪酸を摂るように心がけましょう!
トランス脂肪酸をなるべく摂取しない
トランス脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の一種ですが、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすという、体に悪い作用をすることが明らかになりました。そのため、脂質異常症の改善、心筋梗塞などの冠動脈疾患予防のためにトランス脂肪酸の摂取は控えることが推奨されています。
近年では企業努力により、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は大幅に減少してきています。
ただし、加工食品や飲食店で使用される油やマーガリンには、多くのトランス脂肪酸が含まれていることが多いので注意すべきだと思います。
健康を考える上では、トランス脂肪酸を含まない食品や、トランス脂肪酸の摂取量が少ない食品を選ぶことが重要です。
食品ラベルの成分表示を確認し、トランス脂肪酸を含まないか、少ない食品を選択しましょう!
n-3系多価脂肪酸の摂取をふやす
n-3系(オメガ3系)脂肪酸には、魚に豊富な「DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)」や、食用油に多く含まれる「α(アルファ)‐リノレン酸」などがあります。
DHAや脳や神経の機能を向上させる効果や、血管系の病気を予防する働きが期待されています。
EPAは、血中の中性脂肪を減らし動脈硬化を予防する効果が期待されており、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」においても、魚油の摂取量を増やすことが推奨されています。
DHA・EPAはサバ、サンマ、うなぎ、マグロなどの魚に多く含まれているので、積極的に摂取しましょう。
α‐リノレン酸は、えごま油やアマニ油に多く含まれており、心臓血管系疾患の予防や改善効果が期待されています。
n-3系脂肪酸を含む食品を積極的に摂取しましょう!
食物繊維を摂取する
食物繊維は、野菜・穀物・海藻・大豆・キノコ・果物などの食品から摂取され、不溶性と水溶性に区別されます。
「不溶性食物繊維」は文字通り、水に溶けない食物繊維で、水分を吸収し便を柔らかくする効果があるため便秘の予防に効果的です。
「水溶性食物繊維」は血糖値の上昇をゆるやかにすることや、コレステロールの吸収を抑制する働きをもっています。
これらの効果から、食物繊維の摂取量を増やすことで総死亡の減少、心血管疾患や脳卒中予防への効果が期待されています。
5大栄養素とともに、食物繊維の摂取も意識しましょう!
減塩を心がける
令和元年の国民健康・栄養調査報告によると、現在の日本人の食塩摂取量は平均10.0gであり、近年減少傾向にはあるものの、目標値と比べるとまだまだ多いのが現状です。
ちなみに、厚生労働省(日本人の食事摂取基準2020年版)が推奨している日本人の目標値は、男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満です。
また、日本高血圧学会では高血圧患者の減塩目標は、男女とも6g/日未満としています。
食塩の過剰摂取は血圧上昇をきたし動脈硬化を促進するため、高血圧でない方も日頃から減塩を意識することは大切です、
元気なときから、塩分の摂り過ぎには注意しましょう!
まとめ
動脈硬化を予防し、血管を若返らせるための食事の工夫についてお伝えしました。最後にポイントをまとめます。
- 自分自身の適正体重・必要なエネルギー量を知り、食べ過ぎを予防しましょう!
- 1日の食事の中で、5大栄養素をバランス良く摂取できるように心がけましょう!
- 飽和脂肪酸の摂取を減らし、かわりに不飽和脂肪酸を摂るようにしましょう!
- 食品ラベルの成分表示を確認し、トランス脂肪酸を含まないか、少ない食品を選択しましょう!
- n-3系脂肪酸を含む食品を積極的に摂取しましょう!
- 5大栄養素とともに、食物繊維の摂取も意識しましょう!
- 元気なときから、塩分の摂り過ぎには注意しましょう!
日頃から食生活を意識して、血管の健康を守っていきましょう!最後までお読みいただきありがとうございました。
参考 1)日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」 2)飯田薫子、寺本あい:一生役立つ きちんとわかる栄養学.2022.西東社
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