血管年齢とは
「血管年齢」という言葉を聞いたことはありますか?人は年齢を重ねるごとに老化しますが、血管も同様に年をとります。
血管が老化すると固くなり、しなやかさが失われていきます。いわゆる「動脈硬化」といわれる状態です。
ただし、血管が老化する原因は加齢だけではありません。だから、血管年齢は実年齢より高くなることも多いです。
逆に言えば、血管年齢は実際の年齢と違って、若い状態を維持することも、下げることも可能なんです!
出来ることなら、若く保ちたいですよね。
この記事では、血管年齢について以下のことが分かります。
- 血管年齢はどうやって測る?
- 血管年齢が高いことのリスク
- 動脈硬化の危険因子は?
- 血管年齢を若返らせるコツ
タイトルにある「血管年齢の若返り方法」を先に知りたい!という方は、こちらをクリックしてください。記事後半へジャンプします。
血管年齢の測定方法
血管の測定方法にはいくつかありますが、正確に測定したい場合は病院での検査がおすすめです。
病院で行われる血管年齢測定
病院で血管年齢を検査する場合は、血管脈波検査が一般的です。
下の図のような専門の機械で両腕と両足首の血圧と脈波を測定します。
これにより下記の「血管の硬さ(CAVI検査)」と「詰まり具合(ABI検査)」がわかり、2つの検査結果をもとに血管年齢を推定しています。
検査の所要時間は5分程度です。
CAVI(キャビィ)検査
動脈の硬さを測定する検査です。心臓から送り出された血液が、腕と足首の血管に到達するまでの「脈波のスピード」を測定します。
これにより、血管のふくらみ具合やしなやかさを確認。動脈硬化が進んでいるほど「CAVI」の値は高くなります。
CAVIが9.0を超えると、約半数が「脳動脈」か「心臓の動脈(冠動脈)」に動脈硬化を発症していると言われています。
CAVI≧9.0=動脈硬化の疑い
ABI(エービーアイ)検査
足の動脈の詰まりを測定する検査です。
上腕の血圧と足首の血圧比較すると、健康な人では足首の方がやや高い値になります。
しかし、動脈が詰まっていると上腕に比べ足首の血圧は低くなります。
ABIは「足首の血圧」/「上腕の血圧」で表されるため、ABIの値が低いほど足の動脈の詰まりが重症であることを表しています。
足の動脈の詰まりが重症になると、「歩行時の足の痛み」がでることが多いといわれています。
ABI<0.9=動脈硬化の疑い
頸動脈エコー
もう一つの検査として「頸動脈エコー」が挙げられます。
ベッドに横になり、頚部にゼリーを塗って超音波を当てて観察します。検査の所要時間は20分程度です。
上記の「血管脈波検査」との違いは、①血管の状態を視覚的にとらえられることと、②全身の動脈の状態を推定できることです。
頸動脈エコーでは、頸動脈の動脈硬化の有無、血管の詰まり具合、プラークの状態を調べることができます。
これにより、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いかどうかが分かるため、とても有用な検査です。
身近な場所での血管年齢測定
「もっと手軽に血管年齢を知りたい」、「わざわざ病院に行くのは大変」という方は、身近な場所でも簡易的に血管年齢を測定できます。
街中で、100円か200円払って指を入れたら「血管年齢」を測定できる、こんな機器をみたことがありませんか?
この機器の原理は、加速度脈波計と呼ばれる検査機器を用いて、指先の脈拍から血流の速さを測定して血管年齢を推定しています。
測定時間は数十秒と短く、簡便に検査できるのがメリットです。
ただし、指先などの末梢の血管は自律神経の影響を強く受けるため、その日の体調や緊張、ストレスなどの状況で誤差を生じやすいというのが注意点です。
血管年齢測定器が設置されている店
- イオンモール
- ファンケル
- スギ薬局
- アリオ
- マツモトキヨシ(matsukiyo LAB)
- 健康ランド
※すべての店舗に設置されているわけではないため、お近くの店舗についてはご確認ください。
店舗以外でも、地域の健康フェアやイベントなどで、無料で検査を受けられる場合があるため、それらを利用してみてもいいかもしれませんね。
自宅での血管年齢測定
最近では、自宅で血管年齢を測定できる機器も発売されているようです。
価格は2万円以上と高額ですが、糖尿病や高血圧・高脂血症などの持病がある方や、血管年齢が気になり頻繁に検査したい方には適した商品だと思います。
ただし、こちらも指先で検査するタイプのため、病院の検査よりも精度は劣ることをご承知おきください。
そのため、自分の動脈硬化の程度や変化を知ることで、健康意識を高め、生活改善改善につなげることを目的として測定するのがオススメです。
血管年齢が高いとどうなるの?
全身の動脈硬化がすすみ、実年齢よりも血管年齢が高い方は、何が問題なのでしょうか?
動脈硬化が進むと、血管の壁は硬く厚くなり、詰まったり破れやすくなったりします。
そして、動脈硬化は脳や心臓などに、以下のような様々な疾患を引き起こします。
この他にも、狭心症、脳出血、閉塞性動脈硬化症などの病気のリスクが高まります。
血管は全身を通っているため、全身に影響を及ぼし、命に関わる病気を発症することも多いのが特徴です。
さらに怖いところは動脈硬化が進んでいても、自覚症状がないという点でしょう。
動脈硬化の危険因子
では、なぜ動脈硬化が進んでしまうのでしょうか?
動脈硬化の危険因子には以下のようなものが挙げられます。
- 高血圧
- 脂質異常症
- 糖尿病
- 喫煙
- 肥満
この他にも、加齢や家族歴(遺伝)などの要因がありますが、自分で対応することができる因子は上記の5つです。
危険因子の中で、当てはまるものが多ければ多いほど動脈硬化が進んでいる可能性が高いため、特に注意する必要があります!
血管年齢を下げるには|若返りの方法
前置きが長くなりましたが、本題の「血管年齢を若く保つ」にはどうしたらいいのでしょうか?
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」で推奨されている内容を中心にお伝えします。
キーワードは「食事」「運動」「禁煙」です!
食生活
食生活の具体的な対策は、以下のとおりです。
- 食べ過ぎない:適切なエネルギー量
- バランスのとれた食事:三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)およびビタミン、ミネラルをバランス良く摂取
- 飽和脂肪酸、コレステロールを過剰に摂取しない
- トランス脂肪酸の摂取を控える
- n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす
- 食物繊維を増やす
- 減塩:食塩摂取量は1日6g未満をめざす
簡単にまとまると、「バランスのとれた減塩食を腹八分目で食べ、悪い油を減らし、体に良い油を摂取する」といった感じですね。
日々の食事でカラダは作られていますので、食生活は特に気をつけたいです。
動脈硬化予防のための食生活についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください→【血管年齢を若返らせる食べ物は?食事の工夫とオススメ食材】
体重管理
- 定期的に体重測定をする
- 適正体重を維持する:BMI([体重(kg)]÷[身長(m)の2乗])=18.5以上25未満が普通体重
適正な体重管理は、動脈硬化に限らず、さまざまな病気の予防に重要です。
理想の体重について詳しく知りたい方は、コチラの記事へ→「BMIと理想体重の関係を理解し、健康的な体重管理をしよう!」
ちょうどいい体重を保って、健康な体づくりをしましょう。
運動
適度な運動は血管の健康に大きく寄与します。運動によって血行が促進され、血管の柔軟性や強度が向上します。
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を習慣的に行う。毎日合計30分以上が目標
- 筋力トレーニングやストレッチも実施することが望ましい
運動をすることで、心も体もリフレッシュできます。
生活習慣
- 禁煙し、受動喫煙を回避する
- 過度な飲酒を避ける
喫煙は血管の健康に深刻な影響を与えます。喫煙をやめることで、血管の炎症や収縮を抑えることができます。
過度の飲酒は血圧の上昇や脂質異常症のリスクを高めますので節酒を心がけることも重要です。
また、個人的にはストレスの管理も重要な要素だと思います。適度な休息とリラックス法(瞑想、深呼吸、ヨガなど)を生活に取り入れ、心と体、そして血管の健康を守りましょう!
この記事の内容が参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
参考:日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
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