LVEF
LVEFとは「left(左)ventricular(心室) ejection fraction(駆出率)」の略で、「左室駆出率」を意味します。
左室の駆出率は、【(左室拡張末期容積ー左室収縮末期容積)÷左室拡張末期容積】で求められます。
分かりやすいイメージで説明すると、「左室拡張末期容積=左室が一番血液をためて膨らんでいる状態」であるのに対して、「左室収縮末期容積=左室が全身に血液を送り出した後、一番しぼんでいる状態」です。
そのため「(左室拡張末期容積ー左室収縮末期容積)=心臓が1回の収縮で送り出した血液の量=1回拍出量」となります。
左室駆出率とは言い換えると、「左室が最も膨らんでいる時の容積のうち、1回の収縮でその何%が拍出されているか」を示しています。
LVEFの低下は、左室の収縮機能の低下を意味します。
HFrEF/HFmrEF/HFpEF
まず、HFrEF、HFmrEF、HFpEFは「検査施行時のLVEFによる心不全の分類」です。検査実施時点での状況なので、時間経過とともに変化する可能性があります。
それぞれに共通する「HF」と「EF」は「Heart Failure=心不全」、「EF=左室駆出率」を表しています。
「HF」と「EF」に挟まれた「r」「mr」「p」の意味は、「r=reduced(減少した、減弱した)」「mr=mid-range(中間)」「p=preserved(保存する、維持する)」です。
LVEF40%と50%を境界にして、以下のように分類されています。
◎HFrEF(ヘフレフ):LVEFが40%未満(低下した)の心不全
◎HFpEF(ヘフぺフ):LVEFが50%以上(保たれた)の心不全
◎HFmrEF(ミッドレンジ):LVEFが40%以上50%未満(軽度低下した)の心不全
※補足:HFrEFの治療についての研究は以前から多く行われていて、治療法が確立されていますが、HFpEF、HFmrEFについては有効な治療法が十分には確立されていないという現状があります。
HFrecEF/HFuncEF/HFworEF
この3つは「LVEFの経時的変化による心不全の分類」です。
◎時間経過とともにLVEFが改善(recover)した心不全 = HFrecEF
◎時間経過でLVEFが変化しない(unchange)心不全 = HFuncEF
◎時間経過とともにLVEFが悪化(worsened)した心不全=HFworEF
※補足:HFrecEFは比較的予後良好とされているのに対して、HFworEFは予後不良とされています。
参考文献)2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療 (日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン)
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