こんにちは。理学療法士のぴんころです。
この記事では「心拍数」と「脈拍数」の違いついてお伝えします。
えっ?「心拍数」と「脈拍」って同じ意味じゃないんですか?
2つの言葉は同じように使用されることが多いですが、実は「似て非なるもの」です。
では、どのように違うのか見ていきましょう!
心拍数とは?
「心拍数」とは、1分間に心臓から血液が拍出された回数を表しています。心臓そのものが1分間に鼓動した回数ですね。
心電図や聴診によって測定するのがこれにあたります。心臓に手を当てて「ドクン、ドクン」と心臓が鼓動する回数を数えても分かります。
脈拍数とは?
一方「脈拍数」とは、心臓から拍出された血液が動脈を流れる時に起こる拍動を触知してた回数です。1分間に何回拍動を触知できたかを表しています。
図のように手首に指を当てて測定するのがこれにあたります。
「心拍数」と「脈拍数」が同じように扱われる理由は、特別な理由がない限り、この2つの回数はおおむね同じになるからです。
普通は心臓が1回拍動したら、脈拍が1回触れるからです。
では、この2つの回数に相違がある場合はどんな時でしょうか?一緒に考えてみましょう!
心拍数と脈拍数が異なる場合
その1:不整脈
不整脈とは、その名の通り「脈が不整である=一定ではない」状態をいいます。
脈拍が測定しにくくなる代表的な不整脈しては、心房細動、期外収縮、過度な頻脈・徐脈が挙げられます。
【心房細動】通常、心臓は一定のリズムで拍動するのですが 、心房細動では拍動のリズムがバラバラになります。
イメージ(〇が心拍)
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【期外収縮】期外収縮では通常の心拍リズムの中に、突然イレギュラーな心拍が入ります。期外収縮を引き起こす原因部位によって、「心房性期外収縮」と「心室性期外収縮」に分けられます。
イメージ(〇が心拍)
ーー〇ーー〇ー〇ーー〇ーー〇ーー〇
【頻脈】心拍数が異常に多い場合です。1分間に100拍を上回ると頻脈といわれます。
イメージ(〇が心拍)
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【徐脈】こちらは心拍数が異常に少ない状態です。1分間に50拍を下回る場合は徐脈といわれます。
イメージ(〇が心拍)
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上記の他にも不整脈の種類はたくさんありますが、脈拍が正確に測りにくくなる原因の1つとして、このような不整脈の影響が考えられます。
脈のリズムが一定でなかったり、速すぎたり、反対に遅すぎたりすると、脈拍は正確に測りにくくなります。
その2:脈拍が触れにくい場合
もう一つの原因として考えらるのは、血圧の低下により脈拍そのものが触れにくい場合です。一般に収縮期血圧(上の血圧)が80mmHg以下の場合、手首で脈拍が触知しにくくなるといわれています。
普段から低血圧の場合、このくらいの血圧でも平気な方はおられますが、通常は血圧が下がりすぎるとめまいやふらつきを自覚することが多いです。そのため、脈が触れにくいほど血圧が低い場合は、横になるなどの対応をとった方が安全です。
【補足】心臓の異常に早く気付くために知っておきたい事
ここまでにお示しした通り、心拍数と脈拍数が異なる場合は、体に何らかの異常が起きている可能性があります。
不整脈だった場合、経過観察でいいケースもありますが、治療が必要となるケースもあります。
低血圧の場合も、何らかの病気が潜んでいるかもしません。
ご自身の異常に早く気付くためにしていただきたいことは「普段の(元気な時の)状態を知る」ということです。
まずは、手首に指を当てて自分の脈を図ってみましょう!
- 脈の速さはどのくらいですか?(個人差はありますが、安静時の脈拍は60-80拍/分が正常範囲です)
- 脈のリズムは一定ですか?
- 脈の触れ方は強いですか?弱いですか?(通常、血圧が高めの方は脈の触れが強く、低めだと弱くなります)
このような事を普段から確認しておけば、異常が起きた時に早期に気づくことができます。
不整脈は自覚しにくく、検診などで指摘されて初めて気付く方は実際少なくありません。
日々の健康チェックの1つとして、手首に指をあてて「脈拍を図ってみる」というのは、有効なことだと思います。血圧測定を習慣にされている方は比較的多いと感じますが、この脈拍測定も日々の習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
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