こんにちは、理学療法士のぴんころです。
杖にはいろいろな種類があるのをご存じですか?
記事を読んで、ご自身に合う杖を見つけてください。
杖の種類
今回は以下の5種類の杖について説明します。
①T字杖(1本杖)
- 最も一般的な杖です
- 木製・金属製・折りたたみタイプなどがあります。
- 柄や種類が豊富です
- 介護保険でのレンタルはできません
②4点杖(多点杖)
- 杖の先が4つに分かれています
- 支える面積が広いため安定感があります
- 介護保険でレンタルできます
③ロフストランド杖
- 付属する輪の部分(カフ)に腕を通し、腕と手の力で体重を支えます
- 杖に体重がかけやすくなります
- 介護保険でレンタルできます
④ウォーキングポール
- スキーのストックのように両手に持つ杖です
- ウォーキングの時に使用します
- 介護保険のレンタルはなく、スポーツ用品店などで購入します。
⑤松葉杖
- 骨折や捻挫などで、片方の足に体重がかけられないとき使用する杖です
- 一時的に使用する場合が多いので、病院で貸してもらうことができます。
それぞれの杖の選ぶ時のポイントを以下に記載します。
① T字杖(1本杖)
この杖を使用する時には以下のことに確認してください。
T字杖で支えられる面積はそれほど大きくないため、このを使用される方は、体の筋力やバランスがある程度保たれている必要があります。立ち上がりが不安定な方や、歩行中のふらつきが強い方は、4点杖や歩行車(シルバーカー)等の支持性の高い補助具の方がより安全に歩行できます。
T字杖には木製、金属製、折りたたみなどの種類があります。特徴は以下の通りです。
木製 | 金属製 | 折りたたみ式 | |
値段 | 比較的安価 | 比較的高価 | 高価 |
重さ | 軽い | 重い ※1 (軽量タイプもある) | 比較的軽い |
持ち運び | 普通 | 普通 | しやすい |
柄の選択肢 | 少ない | 多い | 比較的多い |
高さ調整 | ノコギリ等で切って調整 さらに短くする以外は再調整不可 | 可能(段階調節式) | 可能 ※2 |
※1 金属製の杖の重さは軽ければいいということではありません。素材が良いもので軽量化されたものはいいですが、安価で軽い杖は金属が薄く簡単に曲がってしまう場合があります。杖は歩行を安定させ、転倒しないために持つものなので、強度にも注意が必要です。
※2 折りたたみ式の杖は、携帯に便利で外出先や旅行先などで使用する方に最適です。ただし高さ調節範囲が通常の杖と比較して狭いです。身長の低い方や円背姿勢の方が使用する場合、適切な高さに調整できないことがあるため、注意してください。
② 4点杖(多点杖)
この杖は、T字杖に比べて杖先の面積が広いため、支えられる力が大きいのが特徴です。障害が重度で、杖にしっかりと体重をかけて歩行する必要がある方に最適です。
ただ安定感が得られる反面、杖の重量が重たい傾向にあります。支える面積は大きい物から小さいものまで種類は多くあるため、安定感と重量などを総合して、使用しやすい物を選択されるといいでしょう。4点杖は、介護保険のレンタルが可能ですので、数種類を試してみるのもおすすめです。
③ ロフストランド杖
ロフストランド杖の特徴は、肘のあたりまである長い杖で、腕と手に力を分散させて体重を支えるということです。この杖の使用が最適なのは以下のような方です。
この杖はT字杖と比較して安定感があり、長距離歩いても疲れにくいという特徴があります。また、4点杖と比較すると軽いものが多いです。4点杖は接地面積が広く平地での利用が向いているのに対して、ロフストランド杖の接地面積はT字杖と同程度なので、屋外の不整地でも利用可能です。
この杖も介護保険でレンタルが可能ですので、屋外の散歩などで使用を考えておられる方は一度試してみてもいいかもしれません。
④ ウォーキングポール
この杖は両手に1本ずつ持ち、歩行中の腕の動きに合わせて左右交互につくのが特徴です。T字杖と比較して杖先は細く、支える力は小さいですが、左右に支えがあるのでバランスがとれ、安心感はあります。ウォーキングポールはこんな方におすすめです。
杖は必要だけど、私はまだ若いし見た目が気になるわ。
かっこいい杖はないかしら。
散歩を始めようと思うけど、足腰に自信がないな。転んだらどうしよう。
ウォーキングポールは、杖があった方が安定して歩ける方や、膝や腰に不安があるには有用です。片足が極端に弱い方や、杖がないと立っていられないなどの方には向きません。
また、ウォーキングポールを使用して散歩をすることで、①背筋を伸ばしていい姿勢で歩行できる、②腕を振って歩行するため、普通の歩行よりも全身を動かすことが出来る、③左右の支えがあるのでバランスを崩しにくいというメリットがあります。シェイプアップの目的で使用される方もおられるようです。
⑤ 松葉杖
松葉杖は、見たことがある方が多くイメージしやすいと思いますが、足の骨折などで片足をつけられない方が使用します。骨折後、少しずつ体重をかける練習をする部分荷重の時期にも使用されます。
松葉杖で歩くのは見た目は簡単そうですが、意外とバランス能力や腕の力が必要なので、使用する前の練習が必須です。特に階段昇降には手順やコツがあるので、理学療法士などに正しい使用方法を学んでから行うことをおすすめします。
ちなみに、屋外では松葉杖を使用せざるをえませんが、「家の中では、廊下も階段も這った方が早い」ということをよく耳にします(笑)。畳の上でちょっと移動するときは確かに這った方が早く、階段も無理に松葉杖で行くよりはお尻と手で上り下りする方が安全で早い場合が実際あります。余談でした。
まとめ
- 杖の種類と特徴について記載しました。
- 杖は様々なものがありますが、自分の用途や身体機能に合ったものを選択することが重要です。
- この記事が、みなさんの杖選びの時の一助になれば幸いです。
- 最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献)西野英行 著:100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方.日経印刷株式会社.2017.
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